読了本

「天才」読了。

石原慎太郎著「天才」(幻冬舎文庫)読了。一昨年のベストセラーが文庫になったので読んでみた。小学校卒で総理大臣となり、「日本列島改造論」を唱えて辣腕を振るった政治家・田中角栄の生涯を、一人称でたどっていく。石原作品は「秘祭」「生還」などを読…

「バケモノの子」読了。

細田守著「バケモノの子」(角川文庫)読了。映画が面白いと聞いたので、小説版を読んでみました。でもたぶん、これは映画を見た方がよいと思います。ビジュアル的にどんな感じのキャラクターなのか、表紙のイラストだけから想像するのは限界がありますね。…

「ラヴレター」読了。

岩井俊二著「ラヴレター」(角川文庫)読了。今年1冊目の読了本。単行本が出たのは1995年だから、20年以上も前。スマホでのやりとりが描かれることが多い昨今、手紙がキーワードとなる物語がかえって新鮮に感じられた。 「岩井俊二って映像作家でしょ…

今年のベスト5。

いよいよ年末。師走は慌ただしく、今後読書はあまりできそうにないので、今年一年の読書を振り返っておこうと思います。 今年の読了本は33冊。まあ、こんなものかなと思います。今年も面白かった本ベスト5を決めました! 1位 西川美和著「永い言い訳」(…

「レインツリーの国」読了。

有川浩著「レインツリーの国」(角川文庫)読了。ブログに書かれた本のレビューが元で始まる物語、というのは素敵。 でも、メールのやりとりの内容はちょっと・・・。なんで伸行を関西弁にしちゃったのかなあ。関西弁の人って、メールも関西弁なの?相手も関西…

「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」読了。

山田詠美著「明日死ぬかも知れない自分、そしてあなたたち」(幻冬舎文庫)読了。連れ子同士で再婚した父と母、そして4人の子どもたち。家族の幸せは、長男の突然の死によって変調を来す。小説としてはありがちな設定だが、暗くなりすぎないのが山田詠美の…

「しろいろの街の、その骨の体温の」読了。

村田沙耶香著「しろいろの街の、その骨の体温の」(朝日文庫)読了。この著者の本を読むのは初めて。 主人公は造成途中のニュータウンに住む結佳。同じ習字教室に通う伊吹を密かに好きになるが、その思いを素直に表現する術を知らない。思春期特有の醜形恐怖…

「Masato」読了。

岩城けい著「Masato」(集英社文庫)読了。主人公の真人は、父親の海外赴任でオーストラリアに移住した小学生。言語の壁を乗り越えて自立していく真人の2年余の生活に、胸が熱くなることが何度もあった。 久しぶりに読み終えるのが惜しくなるような傑…

「リストランテ・アモーレ」読了。

井上荒野著「リストランテ・アモーレ」(ハルキ文庫)読了。女癖の悪いイケメンシェフ・杏二が主人公。「キャベツ炒めに捧ぐ」もよかったけど、井上荒野の料理小説は気軽に読めて楽しい。 登場人物が個性的で面白いし、ストーリー展開も上手いので、さくさく…

「オラクル・ナイト」読了。

ポール・オースター著/柴田元幸訳「オラクル・ナイト」(新潮文庫)読了。久しぶりに海外小説を読んだけど、結構重い話で、あまり気分転換にはならなかった・・・。 【以下ネタバレあり】前半(青いノートとの出会いや、カンザスシティが舞台の作中小説の部分…

「長女たち」読了。

篠田節子著「長女たち」(新潮文庫)読了。老親との間に確執を抱えた長女が主人公の3つの中編を収録。認知症、糖尿病、孤独死など、現代社会が直面するテーマを背景に、主人公たちは息苦しいほど真面目に家族に向き合っていく。 読み終えると、「長寿社会は…

「みんないってしまう」読了。

山本文緒著「みんないってしまう」(角川文庫)読了。12話の作品を収録した短編集。どれも20〜30ページほどでとても短く、物語の世界に入れたかなと思うとすぐに終わってしまうので、物足りなさが残る。 「絶対泣かない」「紙婚式」「プラナリア」を読…

「はだかんぼうたち」読了。

数日前、江國香織著「はだかんぼうたち」(角川文庫)読了。視点がくるくると変わる展開に、初めはややとまどった。慣れればスムーズに読める。でも、登場人物がすべて変わった人物ばかりなので、あまり感情移入はできなかった。 特に鯖崎の行動が理解できな…

「ハイドラ」読了。

金原ひとみ著「ハイドラ」(新潮文庫)読了。薄い本だし、これはたぶんあっという間に読めるなと思って買ったが、予想通りに2時間ほどで読了。デビュー後間もない初期の金原ひとみが書いた、ひりひりするような恋愛小説で、私はこういうの大好きです。ハイ…

「心臓に毛が生えている理由」読了。

米原万里著「心臓に毛が生えている理由」(角川文庫)読了。ロシア語通訳としても活躍した作家の最後のエッセイ集。様々な媒体に書かれたものを寄せ集めた本とは思えないほどクオリティが高く、読み応えのある内容。すばらしい。 在プラハ・ソビエト学校の図…

「つきのふね」読了。

森絵都著「つきのふね」(角川文庫)読了。森絵都を読むのは久しぶり。万引きやら放火やら心の病やら、物騒な話が満載のわりには、ほのぼのとした雰囲気のヤングアダルト小説。テンポよく話が進むので、あっという間に読み終えた。 でも、ノストラダムスの大…

「天使の卵 エンジェルス・エッグ」読了。

村山由佳著「天使の卵 エンジェルス・エッグ」(集英社文庫)読了。小説すばる新人賞を受賞した著者のデビュー作。文庫の奥付を見ると、1996年6月刊行で、2012年6月第61刷となっているので、かなりのロングセラーだ。 読んでみると、なんともさわやかな青春…

「一千一秒の日々」読了。

島本理生著「一千一秒の日々」(角川文庫)読了。登場人物が様々に入り混じる、連作短篇小説集。これで著者の本は4冊読み終えたけれど、これがいちばんよかった。あとがきで著者も言っているように、体重100キロ超のバーテンダー・針谷は、今までにない…

「その日東京駅五時二十五分発」読了。

西川美和著「その日東京駅五時二十五分発」(新潮文庫)読了。広島出身の主人公が、陸軍特種情報部の通信兵として訓練を受けるが、実際に仕事をする前に戦争が終わり、原爆投下後の故郷へ帰るという物語。著者の伯父が書いた手記を元に、終戦の日の様子が淡…

「あなたの呼吸が止まるまで」読了。

島本理生著「あなたの呼吸が止まるまで」(新潮文庫)読了。12歳(小学6年生)の女の子が主人公だけど、前に読んだ「ナラタージュ」よりはるかに面白く感じたのは、私に娘がいるからだろうか。これぐらいの中篇、読みやすくて大好きです。あなたの呼吸が…

「ナラタージュ」読了。

島本理生著「ナラタージュ」(角川文庫)読了。島本理生はかなり前に「生まれる森」を読んだことがあるのみ。今作は2005年に発表されたものだが、映画化されるらしいので読んでみた。 大学生が主人公の恋愛小説なので、あまりにも遠い昔の話に思えて仕方…

「植物図鑑」読了。

有川浩著「植物図鑑」(幻冬舎文庫)読了。ふだんこういう少女漫画チックな小説をあまり読まないので、最後まで読めるか序盤は心配になったが、テーマが植物だったおかげで飽きずに読み終えることができた。巻頭の植物のカラー写真が親切で嬉しい。 野草を使…

「弱いつながり 検索ワードを探す旅」読了。

東浩紀著「弱いつながり 検索ワードを探す旅」(幻冬舎)読了。日頃、思想ジャンルの人の本はほとんど読まないのだが、この本はそういう読者を想定して書かれたようなので、とても読みやすかった。 デリダとかフーコーとかルソーの名前も出てくるけれど、基…

「ゆれる」読了。

西川美和著「ゆれる」(文春文庫)読了。「永い言い訳」がすごくよかったので読んでみた。最初に読んだ本は面白かったのに、ほかはちょっと・・・ということはよくあるけれど、今回は期待通りの快作。「永い言い訳」に比べるとややほの暗さのある作品だが、ミス…

「落花流水」読了。

山本文緒著「落花流水」(角川文庫)読了。山本文緒の本は今までわりとハズレがなかったけれど、この本はあまりいいとは思えなかった。たぶん主人公の手毬を好きになれないからだと思う。離婚やらうつ病やらで著者が大変だった時期に書いたものなのかな、と…

「永い言い訳」読了。

西川美和著「永い言い訳」(文春文庫)読了。読んでいて、「こ、これはすごい本に出会ってしまった」と嬉しくなった。こういう理屈っぽい主人公の小説は大好き。早くも今年のベスト本となる予感。 「いいなあ」と思う部分がたくさんあったけど、いちばん面白…

「火花」読了。

又吉直樹著「火花」(文春文庫)読了。ドラマを全10回見て、本も一気に読んでしまいました。あの衝撃の終わり方はやっぱり原作通りなんですね・・・。芥川賞の選評を読んだら、高樹のぶ子だけがそこに引っかかってしまったようでした(笑)。 映画では徳永を菅…

「騎士団長殺し 上・下巻」読了。

村上春樹著「騎士団長殺し 上・下巻」(新潮社)読了。いつも通りのハルキワールド。最高傑作とは思わないけれど、それほどストレスの残らない終わり方だったのはよかった。しかし、セクハラで怒られないのかなと心配になってしまう部分が多く、自分としても…

「いとしいたべもの」読了。

森下典子著「いとしいたべもの」(文春文庫)読了。食べ物にまつわる思い出を綴ったエッセイ集。 とにかくお腹が空いてくる一冊。著者直筆のイラストも素晴らしく、特に表紙のメロンパンはたまらん。つい普段は買わないメロンパンを買ってしまいました。さす…

「君の名は。」読了。

新海誠著「小説 君の名は。」(角川文庫)読了。読み始めた当初は「男女の中身が入れ替わる話か。ありがちだな」と思ったけど、さすがに映画が大ヒットするだけあって、なかなか複雑でよくできたストーリーだと思った。もちろん映画が見てみたくなりました。…