「しろいろの街の、その骨の体温の」読了。

 村田沙耶香著「しろいろの街の、その骨の体温の」(朝日文庫)読了。この著者の本を読むのは初めて。
 主人公は造成途中のニュータウンに住む結佳。同じ習字教室に通う伊吹を密かに好きになるが、その思いを素直に表現する術を知らない。思春期特有の醜形恐怖が、結佳をゆがんだ行動へと駆り立てていく。身体も心も成長途中の少女が、少しずつ変化していく様を、強烈なほどなまなましくたどっていく。
 教室内の複雑な空気が描かれていて、川上未映子の「ヘヴン」や、綿矢りさの「蹴りたい背中」が思い起こされる。読んでいて重い気持ちになったが、文章は上手いし、ほかの作品をもっと読んでみたくなった。そろそろ「コンビニ人間」が文庫化されるかな?