読了本

今年のベスト5。

この後も予定が立て込んでおり、もう今年は新たに読了できる見込みはありません。本年の読了本は33冊。まあ、だいたい例年通り。ベスト5を決めたいと思います。 1位 森見登美彦著「ペンギン・ハイウェイ」(角川文庫) 2位 池澤夏樹著「アトミック・ボ…

「カウントダウン」読了。

山本文緒著「カウントダウン」(角川文庫)読了。久しぶりの読了本。最近頭の中が将棋でいっぱいで、本もロクに読んでいなかった。というか熱中できる本があまりなかった。そんな中でも、さすがに山本文緒は読み慣れているせいか、すらすら読めて楽しかった…

「うつ病九段」読了。

先崎学著「うつ病九段」(文藝春秋)読了。プロ棋士によるうつ病闘病記。私はEテレの将棋番組「将棋フォーカス」のファンなので、フォーカスメンバーの中村太地先生や谷口由紀ちゃんが登場するのが嬉しかった。将棋に興味のない人は、読んでもつまらないと…

「青くて痛くて脆い」読了。

住野よる著「青くて痛くて脆い」(角川書店)読了。知人に借りた本。「君の膵臓を食べたい」と同じく、主人公・楓の微妙な心理を細かく描いていおり、読み応えがある一冊。しっかり向き合いすぎていて、読むのが苦しくも感じられた。でも、最後はモヤモヤし…

「朝が来る」読了。

辻村深月著「朝が来る」(文春文庫)読了。表紙が女の子(だよね?)の後ろ姿の写真なので、女の子が出てくるのかと思ったら男の子だった。 物語としては、後半の特別養子縁組の顛末がメインテーマなのだろうが、第一章の幼稚園での出来事の話があまりにも心…

「雲と鉛筆」読了。

吉田篤弘著「雲と鉛筆」(ちくまプリマー新書)読了。薄くてあっという間に読める。読み終わっても、何も残らないような内容だけど、そういう読書があってもいい。内容がずっしり詰まった本ばかり読むと、疲れてしまうから。雲と鉛筆 (ちくまプリマー新書)作…

「軽薄」読了。

金原ひとみ著「軽薄」(新潮文庫)読了。結婚や子育て、海外での生活など、著者自らの生活を最大限小説に反映させているらしいのは相変わらず。心の機微を的確にすくい取って文章で表すことができるのはすごい才能だけど、精神的にかなりしんどい作業なので…

「コンビニ人間」読了。

村田沙耶香著「コンビニ人間」(文春文庫)読了。薄くて予想以上にあっという間に読み終わってしまった。 とても芥川賞にふさわしい内容。「生きづらさ」をテーマに書かれたど真ん中の純文学なので、あまり読んでいて気持ちのよいものではない。これが92万…

「未来のミライ」読了。

細田守著「未来のミライ」読了。映画を見る前に買っていた小説版を読んだ。 監督本人が著者なので、もちろん内容は映画と同じ。でも、いちばんの収穫は主人公の「くんちゃん」の名前が分かったこと。太田訓(おおた・くん)という名前なんだって。「くん」と…

「我が家のヒミツ」読了。

奥田英朗著「我が家のヒミツ」(集英社文庫)読了。「家日和」「我が家の問題」に続く、家庭内の小さなドラマを描いた短編集。 今回は不妊でプレッシャーを感じている夫婦、出世争いに敗れた中年サラリーマン、妻に先立たれた父親を持つ息子などが主人公。気…

「クラスメイツ 前期・後期」読了。

森絵都著「クラスメイツ 前期・後期」(角川文庫)読了。北見第二中学の1年A組は24人。1年間に起きるさまざまな出来事を通して、24人全員の物語が綴られていく。 さまざまな性格の子がいるけれど、全体としてとても明るく前向きな内容で、読んでいる…

「過ぎ去りし王国の城」読了。

宮部みゆき著「過ぎ去りし王国の城」(角川文庫)読了。「絵の中に入ってしまう話」というアイデアから物語を無理やり作った感じで、あまり面白いとは思えなかった。私が宮部みゆきを読み慣れていないせいなのだろうか・・・。登場人物にも魅力を感じられなかっ…

「ペンギン・ハイウェイ」読了。

森見登美彦著「ペンギン・ハイウェイ」(角川文庫)読了。SFも森見登美彦も苦手意識があり、最後まで読めるか心配だったが、ペンギンは大好きなので無事読了できました。 へんてこな話だけど、アニメにすれば意外と面白いかも。来月17日に映画が公開され…

「英国一家、日本を食べる 上・下巻」読了。

マイケル・ブース著/寺西のぶ子訳「英国一家、日本を食べる 上・下巻」(角川文庫)読了。かなり前に読み始めたが、下巻に入ったぐらいで若干飽きたので、その後はちびちびと読み進め、昨日ようやく読了。 なかなか面白い日本の「食」のレポートではあるが…

「嘘を愛する女」読了。

岡部えつ著「嘘を愛する女」(徳間文庫)読了。少し前に公開されていた映画のノベライズ版。ミステリー的な展開で読みやすかった。桔平の嘘の真相はだいたい予想していたものだったが、あまりにも悲しい過去で重い気持ちになってしまった。 主演が高橋一生・…

「ミッキーマウスの憂鬱」読了。

松岡圭祐著「ミッキーマウスの憂鬱」(新潮文庫)読了。先日同じ著者の「瑕疵借り」を読んだら面白かったので、「新潮文庫の100冊」の一冊にラインナップされている本書を手に取ってみた。 東京在住にも関わらず、TDLは私にとって全く未知の場所だ。中学…

「君の膵臓を食べたい」読了。

住野よる著「君の膵臓を食べたい」(双葉文庫)読了。言わずと知れたベストセラー。知人が貸してくれました。ふしぎなタイトルなので奇抜な話なのかと思ったら、意外と普通の青春小説だった。主人公の名前が最後まで明かされないのも、手法としてなかなか面…

「光」読了。

三浦しをん著「光」(集英社文庫)読了。著者は人気作家だが、私はほとんど読了できたことがなく、少し苦手意識があった。今作は読了できたものの、正直言ってさらに苦手意識が強くなってしまった。私は人を殺す話はあまり好きじゃないのです・・・。ごめんなさ…

「瑕疵借り」読了。

松岡圭祐著「瑕疵借り」(講談社文庫)読了。いわゆる「訳あり賃貸物件」をめぐるミステリー短編集。ミステリ専門の作家の本をふだんほとんど読まないので若干不安だったが、文体は流麗で読みやすく、とても面白かった。 4つの作品が収録されているが、3つ…

「森に眠る魚」読了。

角田光代著「森に眠る魚」(双葉文庫)読了。子育てや「お受験」に悩む5人の主婦を主人公とした長編小説。こういう設定は、金原ひとみの「マザーズ」や桐野夏生の「ハピネス」でさんざん読んだので、正直言って全く新鮮味がなかった。 「ハピネス」を読み終…

「アトミック・ボックス」読了。

池澤夏樹著「アトミック・ボックス」(角川文庫)読了。2012年から毎日新聞に連載された長編小説。着替えをポリ袋に入れて瀬戸内海を泳いで渡る場面があったり、GW中の話だったりして、何かとタイムリーな一冊でした。 2011年の原発事故を、作家と…

「あなたには帰る家がある」読了。

西原理恵子著「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」読了。サイバラさんが高須先生と熱愛していたとは知らなかったのでびっくり。そりゃあ、ひよちゃんも反抗期になるでしょうよ。女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと作者: 西原理…

「パイロットフィッシュ」読了。

大崎善生著「パイロットフィッシュ」(角川文庫)読了。「聖の青春」と同じ作者とは思えない、スーパー純文学小説。文体といい人物設定といい、初期の村上春樹のよう。びっくりしました。パイロットフィッシュ (角川文庫)作者: 大崎善生出版社/メーカー: 角…

「おちくぼ姫」読了。

田辺聖子著「おちくぼ姫」(角川文庫)読了。「日本版シンデレラ」として知られる王朝文学を現代語訳したもの。読みやすくて、面白かった。「はしっこい」という表現は初めて聞いたが、「阿漕」(主人公のおちくぼ姫の侍女で、主要な登場人物のひとり)の性…

「女たちは二度遊ぶ」、「水やりはいつも深夜だけど」読了。

吉田修一著「女たちは二度遊ぶ」(角川文庫)読了。 窪美澄著「水やりはいつも深夜だけど」(角川文庫)読了。 どちらも短編集で、並行して読んでいた。吉田修一を読んだのは久しぶり。短編のための設定で書かれているので、どれもあっさりとした薄めの味わ…

「憤死」読了。

綿矢りさ著「憤死」(河出文庫)読了。表題作の他、「おとな」、「トイレの懺悔室」、「人生ゲーム」の4編が収録されたホラー色の強い作品集。「トイレの懺悔室」のラストもゾッとしたけれど、「人生ゲーム」がよかった。奥田英朗と伊坂幸太郎を足したよう…

「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」読了。

岩井俊二原作/大根仁著「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(角川文庫)読了。昨夏公開されたアニメ映画のノベライズ版。岩井俊二だから面白いかな、と思って読んだが原作とはかなり変わっているみたい。映画は川村元気プロデュースだが、ヒッ…

「聖の青春」読了。

大崎善生著「聖の青春」(角川文庫)読了。元「将棋世界」(日本将棋連盟が発行する将棋情報誌)編集長の著者による、傑作ノンフィクション。羽生善治に匹敵すると言われた怪童・村山聖は、幼い頃から病弱だった。病床で将棋と出会った彼は、体力面でのハン…

「羊と鋼の森」読了。

宮下奈都著「羊と鋼の森」(文春文庫)読了。主人公はピアノの調律師。ピアノの構造に由来するタイトルが素晴らしいし、調律という未知の世界の奥深さが味わえて、惹き込まれ、夢中になって読んだ。 ただ、「調律」というジャンルを生かしたモチーフ小説とし…

「オールド・テロリスト」読了。

村上龍著「オールド・テロリスト」(文春文庫)読了。644ページ、なんとか読み終えた・・・。希望を失ったこの国の現状に、風穴を開けたいという作家のメッセージはよく分かった。村上龍のそういうところは好きだけど、もう少し物語として面白いと思えるもの…