「紙婚式」読了。

 山本文緒著「紙婚式」(角川文庫)読了。夫婦をめぐる8つの短編を収録。どの夫婦もこれでもかというぐらいに不穏でドロドロしていて、読後もその感触がしばらく後を引く。著者の力量に感心するばかりだった。
 前半は救いのないまま終わってしまう物語が多く、よくここまで嫌な話ばかり書けるなあと思ったが(でもだんだん病みつきになってくる)、後半の「バツイチ」、「秋茄子」、「紙婚式」はほんの少し光が見える結末だったのでホッとした。夫婦の感情の機微をテーマとしているので、若いころ読んでもこの本の面白さはわからなかったかも。
 ↓ 私が買った本(平成25年5月発行の20版)の表紙イラストは漫画家の谷川史子によるもの。これが大変素晴らしく、アマゾンで表示されないのがとても残念なので写真を撮ってみました。表題作の「紙婚式」に登場する二人を描いていると思われます。

紙婚式 (角川文庫)

紙婚式 (角川文庫)

 山本文緒、面白い。もっと読みたいです。