「夜の公園」読了。

 川上弘美著「夜の公園」(中公文庫)読了。主人公のリリは35歳の主婦。自分(36歳)とは1つしか違わないのに、全く生活感がなくてミステリアスな女性で、親近感は全く湧かない。思春期ならともかく、30代になってもこんなにふわふわした気持ちのままでいたら、しんどいだろうなあと思う。「リリ」というなんとも詩的な名前が、彼女の性格をすでに物語っていて、この小説の第一印象にもなっているのが素晴らしい。
 結末は曖昧にされた部分も多く、その後の展開を想像せずにはいられない。(以後ネタバレ)春名は誰と結婚するのだろうか。リリはシングルマザーになるのだろうか。暁には子どものことを告げるのだろうか。案外二人とも母となって、ママ友として公園を散歩したりしているような気がする。男性も登場するけれど、結局はリリと春名の物語だ。

夜の公園 (中公文庫)

夜の公園 (中公文庫)