「身体のいいなり」読了。

 内澤旬子著「身体のいいなり」(朝日新聞出版)読了。講談社エッセイ賞受賞も納得の素晴らしいエッセイ。乳がんとの闘いはもちろん、経済面での葛藤や人間関係のしんどさまで、ネガティブな感情をここまでつぶさに、正確に表現できることが羨ましい。
 「どうしてこんなに上手なのかな」と思って読んでいたが、学生時代に宗教学を学んでいたという記述があって少し腑に落ちた。著者の本領は「世界屠畜紀行」などのルポルタージュものにこそあるのかもしれないが、今後も自らを見つめたこのような作品も書き続けて欲しい(こちらの方が需要があるような気がする)。
 将来、自分が癌などの病気に罹患した際、もう一度この本を読むことになるような予感を残して、読み終えた。

身体のいいなり

身体のいいなり

 「捨てる女」(本の雑誌社)は「あたし」という一人称だったが、本書では「私」。おかげで違和感なく読めた。掲載媒体に応じて、使い分けているらしい(たぶん)。