「アンパンマンの遺書」読了。

 やなせたかし著「アンパンマンの遺書」(岩波現代文庫)読了。アンパンマンの生みの親で、昨年10月に亡くなった著者の自伝。1995年に書かれた単行本を復刻したものだが、巻末には昨年2月に書かれた「九十四歳のごあいさつ」も収録されており、感慨深い。
 「アンパンマン」がヒットするまでの、長い下積み時代の苦労話が面白かった。「なんのために生まれて なにをして生きるのか」というアンパンマンの歌詞を、最後まで追い求め続けてきたのが、やなせさんの人生だったようだ。頼まれたら何でもやってしまうチャレンジ精神と懐の深さが、成功の要因かもしれない。
 「アンパンマン」は決して幼児向けに書かれたものではないのに、日本中の子どもたちがこんなに身近に感じているというのはなんとも不思議なことだ(御本人がいちばん不思議に思われていたようだ)。もう新しいキャラクターは増えないのかな。寂しい。