「横道世之介」読了。

 吉田修一著「横道世之介」(文春文庫)読了。初めは予想外にコミカルなキャラクターと展開に驚いたが、最後は吉田修一らしい上手い終わり方で、「さすがだな」と思った。来年映画が公開されるようだが、確かに映画化向きの作品だと思う(構成などが)。吉高由里子の祥子ちゃんはいい配役かも。
 ただ、誰もが実際に起きた事件を想起するだけに、こんなふうにそれを小説に取り入れても大丈夫なのかな?と心配にはなった。著者は「さよなら渓谷」でも似たような扱い方をしていたが・・・。「八日目の蝉」(角田光代)にしても、「残虐記」(桐野夏生)にしても、なんだか読者としてヒヤヒヤしてしまう(要するに、小説の材料にされることを嫌がる人がいるのではないかと想像してしまう)。いや、たぶん大丈夫なんだろうけど。

横道世之介 (文春文庫)

横道世之介 (文春文庫)

 なぜ解説なしなのかな・・・? 映画化に合わせて急いで文庫化したのだろうか。