妊娠・出産・育児の本。

 知人からの年賀状に、妊娠したという嬉しいお知らせが書いてあった。以前からなんとなく耳にはしていたが、直接連絡をくれるということは順調なんだろうと思い、安心する。
 妊娠・出産・育児は、予想以上に経験してみないとわからない世界である。それに関する本がたくさん出ているが、自分に縁がないと全く興味がわかないのが普通だし、ましてや手に取ってみようとは思わない。だからいざその状況に置かれてみると、何を読んでいいのかわからない。私はいわゆる育児のマニュアル書を一冊買い、あとは専門的ではないエッセイや、それをテーマにした小説を探して、むさぼるように読んだ。でもそれは驚くほど一過性のもので、今はほとんど読まなくなった。
 私が読んだ妊娠・出産・育児本をおすすめ順にまとめておく。参考にしてもらえれば嬉しい。
 【エッセイ編】
内田春菊著「私たちは繁殖している」シリーズ(角川文庫)…4人の子どもを持つ漫画家(作家)によるコミックエッセイ。単行本はぶんか社から現在も刊行中。私は角川文庫で読んだ。初めの3、4冊を読めばそれでいいと思う。

私たちは繁殖しているイエロー (角川文庫)

私たちは繁殖しているイエロー (角川文庫)

松田道雄著「私は赤ちゃん」、「私は二歳」(岩波新書)…著者は小児科医だが、文章は非常に読みやすくて面白い。「育児の百科」(岩波文庫、上・中・下巻)は上巻のみ買って読んだ。
私は赤ちゃん (岩波新書)

私は赤ちゃん (岩波新書)

私は二歳 (岩波新書)

私は二歳 (岩波新書)

野崎歓著「赤ちゃん教育」(講談社文庫)…著者はフランス文学者。四十半ばで長男を持った父親の、親バカぶりが楽しい。題名は洋画のタイトルからとったもの。
赤ちゃん教育 (講談社文庫 の 14-1)

赤ちゃん教育 (講談社文庫 の 14-1)

宮藤官九郎著「俺だって子供だ!」(文春文庫)…ある程度大きくなってからの成長記が楽しいので、出産後に読むのがおすすめ。
俺だって子供だ! (文春文庫)

俺だって子供だ! (文春文庫)

松久淳著「男の出産――妻といっしょに妊娠しました」(新潮文庫)…著者は作家。夫の立場から綴った妊娠・出産エッセイ。これは夫にも薦めて読ませた。
男の出産―妻といっしょに妊娠しました (新潮文庫)

男の出産―妻といっしょに妊娠しました (新潮文庫)

伊藤比呂美著「良いおっぱい悪いおっぱい」(中公文庫)…著者は詩人。私は集英社文庫で読んだけれど、現在は中公文庫で【完全版】として読むことができる。続編「おなか ほっぺ おしり」もある(持っているけれど未読)。
良いおっぱい悪いおっぱい 完全版 (中公文庫)

良いおっぱい悪いおっぱい 完全版 (中公文庫)

石坂啓著「赤ちゃんが来た」(朝日文庫)…著者は漫画家。イラストがかわいい。これも続編「コドモ界の人」(持ってない)あり。
赤ちゃんが来た (朝日文庫)

赤ちゃんが来た (朝日文庫)

榎本俊二著「榎本俊二のカリスマ育児」(秋田書店)…著者はギャグ漫画家。デフォルメされた絵が強烈なコミックエッセイ。これも確か続編が出ているはず。
榎本俊二のカリスマ育児 (akita essay collection)

榎本俊二のカリスマ育児 (akita essay collection)

 【小説編】
角田光代「予定日はジミー・ペイジ」(新潮文庫)…この人は実際に体験していないので、リアリティにはやや欠ける。私が読んだのは白水社の単行本。
予定日はジミー・ペイジ (新潮文庫)

予定日はジミー・ペイジ (新潮文庫)

金原ひとみ著「マザーズ」(新潮社)…こちらはリアル過ぎて、楽しんでは読めないかも。少し余裕ができてから読んだ方が無難。
マザーズ

マザーズ

村田喜代子著「ドンナ・マサヨの悪魔」(文藝春秋)…著者の娘が妊娠した際にヒントを得て書いたという小説。これは妊娠中に読むのがおすすめ。
ドンナ・マサヨの悪魔

ドンナ・マサヨの悪魔

 育児書コーナーには置いていない本ばかり。子孫を残すということは、文学にとっても素晴らしいテーマだなあと思う。私ももう一人は欲しいなあ。