「半島へ、ふたたび」読了。

 蓮池薫著「半島へ、ふたたび」(新潮文庫)読了。本書は、北朝鮮による拉致被害者である著者が、帰国後初めて韓国を訪れた際に書かれた旅行記である第一部(「僕がいた大地へ」)と、韓国語の翻訳を仕事とすることになった経緯やその苦労を綴った第二部(「あの国の言葉を武器に、生きていく」)から成っている。私は旅行者として韓国を見た第一部よりも、「『北』を見返してやりたい」という思いから、自分の生きる道を求めて奮闘する第二部の方が面白かった。より「彼でなくては書けない」要素が強いからだろうか。
 書くことが好きだというのがありありと伝わってくるし、自分の思っていることを文章として表現することが上手。もっと発言してほしいような気もするが、安全上難しいのかもしれない。才能ある若者の前途が奪われるような悲劇が、二度と起きないことを願うばかりだ。
 余談だが、朝鮮半島を扱った書籍に必ずと言ってよいほど登場する「オンドル」(床下暖房のこと)、暖かそうでいいなあといつも思う。

半島へ、ふたたび (新潮文庫)

半島へ、ふたたび (新潮文庫)