「マイ・バック・ページ」を見た。

 娘を母親に預けて、夫と2人で映画「マイ・バック・ページ」を見てきた。「映画の日」なので入場料1000円。久しぶりの映画鑑賞で、楽しかった。若者の普遍的なうしろめたさや焦燥感がよく描けていると思った。主演の妻夫木聡松山ケンイチ以外、あまり著名な俳優が出ていないのがとてもよかった。
 本屋に行って同作品が特集されている「キネマ旬報」6月号を購入。

キネマ旬報 2011年 6/1号 [雑誌]

キネマ旬報 2011年 6/1号 [雑誌]

 監督の山下敦弘、脚本の向井康介西川美和の鼎談を読んだ。松山ケンイチ演じる梅山の「キミは敵か?」というセリフ、実際に言ったモデルがいるらしい(笑)。梅山のキャラクターを実によく表現したセリフだと思う。
 妻夫木くんのインタビューも載っている。少し抜粋。

 「最初に脚本を読んだとき、印象として、60年代っぽさというものがあまり感じられなかったから、山下監督に聞いたんです。どこまでがリアルで、どこからが僕らが作る60年代なんだろうって。すると、“そこにこだわるよりも、もっと人間を描くってことでいいんじゃないかな”と言われて。それで思ったんです。確かに、スタッフ、キャストの大半が60年代を生きてきた人間ではないという、そんな僕らが作るのであれば、“実際にはどうだったんだろう?”と答え合わせをしないことが、たぶん一番いいことなんだろうなと。…」

 あの時代に真摯に向き合いつつも、「人間を描く」ことで深みのある作品になっている。原作者の川本三郎は同誌にこう書いている。

 妻夫木聡さんも松山ケンイチさんも素晴しい。本当に有難い。個人的なことになるが、三年前に、三十五年連れ添った家内を亡くした。子供もいない。六十六歳のいま、この映画を作ってもらって本当にもう「いつ、死んでもいい」という気持である。