「ゆっくりさよならをとなえる」読了。

 川上弘美著「ゆっくりさよならをとなえる」(新潮文庫)読了。


 「平凡な人生を送っていることがひけめだった。何かを考えたり深く悩んだりしたいと思うのだが、とっかかりがなかった。自分の人生の中には事件がなかった。事件さえあれば何かが始まるのに。二十歳前後のころ、いつもそんなふうに思っていた。」(133ページ、「平凡」より抜粋)

 上手いこと書くなあ、と思った。私も十代から二十代の前半は、ずっと似たようなことを考えていた。今は、そう考えなくなっている自分に気づいて、驚いた。