今朝の文芸時評。

 今日の朝日新聞朝刊に掲載された、磯崎憲一郎の「文芸時評」には痺れた。NHKの朝ドラ「半分、青い。」を引き合いに出し、「芸術が日常生活を脅かすものとして描かれていること」への違和感について述べている。

 ・・・・・・漫画や映画、そして恐らく小説の世界も同様に生き馬の目を抜くような、エゴ剥き出しの競争なのだろうと想像している人も少なくないとは思うが、しかし現実は逆なのだ。故郷や家族、友人、身の回りの日常を大切にできる人でなければ、芸術家にはなれない、よしんばデビューはできたとしても、その仕事を長く続けることはできない。(略)芸術は自己実現ではない、芸術によって実現し、輝くのはあなたではなく、世界、外界の側なのだ。

 磯崎憲一郎芥川賞受賞作の「終の棲家」を読んでみたが、全然面白くなかった。でも、「文芸時評」は毎回とても楽しみにしている。