「冬の旅」読了。

 辻原登著「冬の旅」(集英社文庫)読了。今年最初の読了本。395ページというページ数以上に、重厚感のある長編小説。伊藤整文学賞受賞作。
 阪神大震災などの実際の事件や災害を背景に、新興宗教、異常性犯罪など、読み応えのあるテーマが盛り込まれ、阿部和重の「シンセミア」を彷彿とさせる傑作。阿部和重神町に対して、辻原登も同じく出身地である和歌山がいつも重要な役割を果たす。特別な場所があるというのは、作家にとって強みなんだろうなと思う。

冬の旅 (集英社文庫)

冬の旅 (集英社文庫)