「紙の月」読了。

 角田光代著「紙の月」(ハルキ文庫)読了。銀行の契約社員として働く主人公・梅澤梨花は、顧客から預かった金に手をつける。若い恋人との生活に大金を使い、その額は一億円にも及んだ。発覚を恐れた梨花はタイの雑踏の中に身を隠そうとするが・・・。
 前半は仕事と家庭とのバランスに悩む女性の心理を、後半はお金がもたらす解放感の恐ろしさを、鮮やかに描き出す。ハラハラドキドキの展開ではあるけれど、お金とどうつき合うべきかを改めて考えさせられた。
 自分もつい子どもに新しい服やらおもちゃやらを次々と買い与えてしまうけれど、その振る舞いのひとつひとつが彼らの人格や金銭感覚のベースになっていくのだと思うと、背筋が寒くなるような思いがした。ずっしりと重い読後感。

紙の月 (ハルキ文庫)

紙の月 (ハルキ文庫)