「鍵のない夢を見る」読了。

 辻村深月著「鍵のない夢を見る」(文春文庫)読了。女性を主人公にした5つの短編を収録した直木賞受賞作。初めて読む作家だが、久しぶりに「この人の本は他にも読んでみたい」と思わせる読後感。放火や殺人、誘拐などすべて推理小説的な素材を扱っているけれど、軽すぎず、文章も上手い。
 最近の犯罪の裏側を探ってみれば、こういう話が実際にありそうな薄気味悪さ。特に2話目の「石蕗南地区の放火」の大林の描写がリアルで気持ち悪かった。猫の写真をメールしてくるとか、胸に「Lemon」と書かれた服を着てくるとか・・・(キモッ)。「次はどれを読んでみようかな。」こう思える作家に出会えることは、何よりの幸せ。