「静かな爆弾」読了。

 吉田修一著「静かな爆弾」(中公文庫)読了。「テレビ局で働く男性と耳の不自由な女性との恋愛小説」と思って読み始めたのだが、なんだか一筋縄ではいかない、謎の小説だった。
 テーマらしきものがぼんやりと感じられるのだが、曖昧なまま提示され曖昧なまま終わる。主人公の仕事である「タリバンの大仏破壊」に関する取材内容は執拗なまでに具体的なのに、物語としては展開しきらないままあっけなく閉じられてしまった。この本そのものが、読者に投げられた「静かな爆弾」ということなのかもしれない。
 しかし、もうちょっと書いて欲しかったです。しばらくモヤモヤしてしまいそう。それが狙いなのかな。

静かな爆弾 (中公文庫)

静かな爆弾 (中公文庫)