春の到来。

 今日も一日凄まじい強風が吹き荒れて、南に面した我が家の窓は終始ガタガタと音を立てていた。以下、昨日読み始めた川上弘美のエッセイ「あるようなないような」(中公文庫)の冒頭から引用。

 何が困るかというと、長い冬が終わって春になることが、困るのである。
 以前から「変わり目」というのが不得意だった。
 秋から冬にかけて寒くなっていくということに関しては、うまい勾配がついているらしく、変わり目というものを殆ど感じない。夏から秋と春から夏への移り変わりの時期には雨が多く降るので、そちらに気をとられて、これも変わり目ということの感じ方が少ない。ところが、春というものは、いかにも春めいた顔をしてやって来るのではないだろうか? 氷は溶け、葉は芽吹き、花は咲き、温度は上がり、空気はいい香りになり、虫は出てくる。いかにも派手ではないか? (13ページ、「困ること」より)

 今年の「変わり目」は特に派手だと思う。