「ルイズ 父に貰いし名は」読了。

 昨晩、松下竜一著「ルイズ 父に貰いし名は」(講談社文芸文庫)読了。日本で最も著名なアナキスト大杉栄伊藤野枝の間に生まれた子どもたちの人生…それだけで大いに興味をそそられるが、そんな私の単純な好奇心すらも、彼女たちにとっては苦痛でしかないようだ。
 同書の主人公である4女のルイズ(フランス人アナキスト、ルイズ・ミッシェルにちなんだ名前)は、それを「重圧」と「たじろぎ」という言葉で表現する。最大のアイデンティティが自ら選びとったものではないということは、予想以上に過酷なことなのだろう。
 しかし、こう考えずにはいられない。大杉と野枝がもう少し長く生きていたら…。子どもたちをどう育てただろう。大杉ファンの勝手な想像は、迷惑でしかないのだろうけれど。
 それにしても、多産な家系である。誰が誰だかわからなくなるほど家族が多いので、家系図をつけて欲しかった。

ルイズ 父に貰いし名は (講談社文芸文庫)

ルイズ 父に貰いし名は (講談社文芸文庫)