「来たれ、野球部」読了。

 昨晩、鹿島田真希著「来たれ、野球部」(講談社)を読了。1日で読み切ってしまった。それにしても、このタイトルとこの表紙は詐欺じゃないのか。全然野球部員を求める話ではありません。著者が決めたことなのだろうか。それとも編集者の提案なのかな。あまりにも本文の雰囲気が違うので、意表をつかれた。それが狙いなのか。
 確かに、設定は高校の野球部のエースと幼馴じみとのラブストーリーが基本ではある。しかし、16歳はこんな会話しないでしょ。たぶん。私は著者を見て買ったからある程度予測できたけど、表紙だけ見て書店員がライトノベルの売場なんかに置いたら、うっかり買ってしまう人がいるんじゃないか(いないか)。全然ライトじゃないぞ。ブラック小説です。純文学です。
 ちなみに、私はすごく好きです。何より文章が好き。この著者の本、ほかにも読んでみようと思う。

来たれ、野球部

来たれ、野球部

 以下は、星新一の「おーい、でてこーい」という小説についての宮村奈緒(16歳、主人公の幼馴じみ)の感想文。  

 〈ゴミから日記を経て、原子炉のカスを捨てるなど、作者は私的なものを遺棄するところから、公的なものを遺棄するということまでを描いて、あらゆるレヴェルで共感を得ようとしている。これがこの作者の作品の醍醐味である。〉(49ページ)

 こんな文章を書く16歳がいたら素敵。「レベル」じゃなくて「レヴェル」だよ?こういう簡潔ですっきりした感想が書けるようになりたい。