「憂鬱たち」読了。

 金原ひとみ著「憂鬱たち」(文藝春秋)読了。主人公の神田憂という女の子が、精神を病み、精神科に行こうとするが、他の用事が発生して結局精神科には行けない、という同じ設定でそれぞれ書かれた7つの物語集。毎回現れるのはカイズさんとウツイくんという名の男2人。この「縛り」がとても心地よくて病みつきになった。
 金原ひとみ、「新潮」に載っていた日記が面白かったので読んでみたのだが、予想以上に素晴らしかった。金原瑞人の娘でしょ? という認識だったが、その域を超えて立派な芥川賞作家だね。文章や表現の確かさ、オリジナリティ、大いに才能を感じる一冊だった。本の造りも凝っていて単行本で買ってよかったなと思った。

憂鬱たち

憂鬱たち