「マイ・バック・ページ ある60年代の物語」読了。

 昨年道立図書館の無料バザーでもらってきた、川本三郎著「マイ・バック・ページ ある60年代の物語」(河出書房新社)を読了。こ、これはすごい拾いものだった。四方田犬彦の「ハイスクール1968」(新潮社)を読んだときに味わった興奮がよみがえった。
 川本三郎は映画や町についての「さらり」としたエッセイを書く人というイメージしかなかったが、こんなハードボイルドな経験の持ち主だったとは。要約すると「朝日ジャーナル」の記者をしていた際に、新左翼主義の活動家と思われる人物に取材したことをきっかけに証拠湮滅罪で逮捕され、朝日新聞社をクビになっているのである。
 取材対象に対する「コミット」の仕方についての葛藤や煩悶が、繊細に描かれていて印象深い。また、映画、ジャズ、ロック、マンガ、ヒッピーなど当時の若者文化が思想や政治運動と密接な関係にあったこともありありと伝わってくるし、時代の温度や雰囲気が濃密に凝縮されていて、読んでいてドキドキした。これは絶対復刊すべき。

マイ・バック・ページ―ある60年代の物語

マイ・バック・ページ―ある60年代の物語