「食べてはいけない!」読了。

 昨晩、森枝卓士著「食べてはいけない!」(白水社)を読了。インド学の第一人者(辛島氏のこと。そうらしい)の本を読んだ直後なだけに、在野のジャーナリストの文章は軽いなあと感じざるを得なかったが、「食べない」・「食べてはいけない」という視点から考察した食文化というのはとても興味深いテーマだと思った。
 結局、「なぜ食べてはいけないのか」という疑問は、簡単に答えを出せるものではない。しかし、肉食をしてはいけない地域は、大豆など良質のたんぱく源となる食物がある場所が多くあえて肉食をする必要がないため、そういった発想が生まれやすい環境にあったことに由来しているのではないかと著者は述べている。北インドや日本がその典型である(日本も明治維新以前はほとんど肉食はしなかった。それは、差別思想とも結びついている)。
 このようなケースからもわかるように、「食のタブー」にはその地域の気候・風土や文化的背景が大きく影響しているようだ。バリ島のヒンドゥー教徒が豚肉や牛肉も食べることは、その好例である(聖職者は除く)。思想や宗教に関係なく、もともと食べる習慣(必要)がある地域では肉食は普通に行われているのである。
 森枝さんの仕事は面白い。写真もいい。もう少し文章が上手だといいのに。

 なんだか、すっかりインドづいてきた。続いて、本棚の奥から発見した山田和著「インドの大道商人」(講談社文庫)を読み始めた。だいぶ前に古本屋で買って、パラパラ眺めただけになっていた一冊である。

インドの大道商人 (講談社文庫)

インドの大道商人 (講談社文庫)