「夜はまだあけぬか」読了。

 先日、古本屋で購入した梅棹忠夫著「夜はまだあけぬか」(講談社文庫)を読了。最近は若者向けライトエッセイばかり読んでいたのだが、これは「文明の生態史観」(中公文庫)や「知的生産の方法」(岩波新書)で有名な著者が、1986年に突如失明したときの闘病生活やその後の経過をエッセイにまとめたもの。我ながら渋い選書だが、文章は読みやすく、一気に読めた。
 前半の、阪大病院に入院していた頃の話が面白かった。視力を失うということがいかなることかを、実に鮮やかに表現している。後半の失明後の出版活動についての部分からは、いかに当時著者が売れっ子の物書きであったがよくわかる。中央公論社講談社平凡社筑摩書房などなど、版元が争うように本を出している。著者は今も存命のようだが(89歳)、さすがに最近は新刊も出ないね。

夜はまだあけぬか (講談社文庫)

夜はまだあけぬか (講談社文庫)