「人生に生きる価値はない」読了。

 中島義道著「人生に生きる価値はない」(新潮文庫)読了。「新潮45」に連載されたエッセイをまとめたもの。哲学的思索ももちろんあるが、身辺雑記的な文章が相変わらず面白い。印象に残ったのは46歳という若さで早逝した故人への、複雑な思いを綴った「池田晶子追悼」。池田晶子、やはり相当の美人だったようである。
 こんな絶望的なタイトルだが、全く暗い気持ちにならない本。ただ、3年前に大学教員も退官したらしく、ますます丸くなっている感じはする。学生もかわいがっているらしいし、酒席のつき合いもわりとできる人のようなので、意外と普通の人だと思う。若かりし頃、城山三郎の解説に文句をつけて掲載しなかった(ボツにした)という話には驚いたが、もうそういう無茶はしないんだろうな。

人生に生きる価値はない (新潮文庫)

人生に生きる価値はない (新潮文庫)