「埴谷島尾文学資料館」のこと。

 島尾敏雄の「死の棘」(新潮文庫)を読んでいる。その中で、島尾敏雄の父母の生地である福島県の相馬地方を、家族4人が訪れる場面が出てくる。確かそのあたりに、島尾の文学記念館のようなものがあったはず、と思って調べてみた。
 「埴谷島尾文学資料館」は福島県小高(おだか)町――合併して現在は南相馬市、にあるようだ。同じく旧小高町にルーツを持つ埴谷雄高のものとともに、関連資料が保存・展示されている。案の定、原発事故による警戒区域内に入っており、閉館中。再開の見通しはもちろん立たず、資料の劣化が心配される状況らしい(→読売新聞の記事)。
 島尾一家が乗った常磐線も分断されてしまった。全国の文学館を巡っている自分としては、行っておきたかった幻の場所になってしまった。