「すべて真夜中の恋人たち」読了。

 昨晩、川上未映子著「すべて真夜中の恋人たち」(講談社)読了。2日で読み終えた。主人公の不思議ちゃんぶりがやや過剰な気はするけれど、心が温かくなる終わり方で、読後感は非常にいい。
 「センセイの鞄」風の物語かと思って読んだけど(その要素ももちろんある)、「対岸の彼女」に近い雰囲気だった。同じ香水をもらうとか、「あなたをみてると、いらいらするのよ」というセリフとか、同じことが2回起きる不穏さを効果的に使っている。校閲者という職業も、キャラクター作りに巧みに生かされていると思った。なかなか高度な小説だと思う。食わず嫌いをしていた著者の本だけど、読んでみて本当によかった。
 ひとつだけ、疑問。185ページで、三束さんはおかわりのコーヒーを「大丈夫です」と言って断っているのに、188ページで冬子の紅茶と一緒に三束さんのコーヒーが運ばれてくるのはなぜ? 細かい部分だが、おかしいと思う。

すべて真夜中の恋人たち

すべて真夜中の恋人たち