「湖の南 大津事件異聞」読了。

 富岡多恵子著「湖の南 大津事件異聞」(岩波現代文庫)読了。1891年、滋賀県大津で来日中のロシア皇太子・ニコライに警護中の巡査が斬りつけた大津事件。犯人の津田三蔵の書簡を読み解きながら、事件の背景やその動機に迫る…というと歴史の研究書のようだが、本作は小説作品として書かれている。
 小説としての要素は割合として少ないのだが、絶妙に架空の話が織り込まれていて、非常に新鮮で面白い。歴史的史料も、作家が料理するとこんな形に生まれ変わるのか、と驚いた。文庫化にあたって「大津事件異聞」というサブタイトルが加わったが、本書がどのような本なのかアプローチしやすくなってよかったと思う。

湖の南――大津事件異聞 (岩波現代文庫)

湖の南――大津事件異聞 (岩波現代文庫)


 今日ブックオフで買った本。まるで欲しい本がなくて、無理やり1冊選んだ。
北杜夫著「マンボウ氏の暴言とたわごと」(新潮社)…105円。平成3年発行のエッセイ集。

マンボウ氏の暴言とたわごと

マンボウ氏の暴言とたわごと