「星へ落ちる」読了。

 昨晩、金原ひとみ著「星へ落ちる」(集英社文庫)読了。主人公の女性作家は仕事で知り合った男性編集者と恋に落ちるが、彼には男の恋人(同居人)がいた…。さまざまな登場人物が語り手となる連作短編集だが、三角関係の中心にいるはずの「彼」の視点からの物語だけはない。読者は「彼」の本心を知ることはできず、主人公の不安を最後まで共有することになる。それがこの小説が成功した一番の要因だろう。
 金原ひとみの本を読むのはこれで3冊目だが、いずれも出色の出来。ますます作品への信頼が深まった。

星へ落ちる (集英社文庫)

星へ落ちる (集英社文庫)