人間の動物性。

 今日の復習がてら、だいぶ前に買った鹿島茂著「人獣戯画の美術史」(ポーラ文化研究所)を読んでいる。

 …グランヴィルの動物風刺画は、人間の滑稽さを誇張するために動物を使ったという域をはるかに超え、動物がそのまま人間になってしまっているからである。つまり、動物が進化をつづけて文明化し、その動物性を保持したまま動物=人間になったとしたら、こうなるだろうというような世界がそこには展開されている。グランヴィルにとって、人間を描くには、八百十通りの代表的情念、つまり個々の動物性にもっとも見合った動物を探してこれに人間の衣服を着せればそれでいいのだ。動物をあえて人間化する必要はない。動物の中にこそ、人間の本質である動物性があるのだから。(144〜145ページ)

人獣戯画の美術史 (isの本)

人獣戯画の美術史 (isの本)

 今回の展覧会の図録は求龍堂から発売されている。
グランヴィル―19世紀フランス幻想版画 (鹿島茂コレクション)

グランヴィル―19世紀フランス幻想版画 (鹿島茂コレクション)