「忘却の河」読了。
福永武彦著「忘却の河」(新潮文庫)読了。4年前に復刊された際買ったものだが、すごい本だった。ものすごく好き。小説として非常に完成度の高い作品だと思う。池澤夏樹と文章が少し似ているような気がする。遺伝かな。著者の本を読むのは「草の花」に続いて2冊目だが、もっと読んでみたくなった。
病気で寝たきりの母が語り手となる四章「夢の通い路」が、特に素晴らしかった。式子内親王の和歌を彼女の独白に巧みに織り込んでいて、教養をここまで小説世界に昇華できるものか、と感心した。
アマゾンを見たら、レビューを書いている8人全員が星5つだった。めったにないのでは。私だけじゃなかった。
- 作者: 福永武彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1969/05/02
- メディア: 文庫
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