「しかたのない水」読了。

 井上荒野著「しかたのない水」(新潮文庫)読了。先日著者が出演するテレビを見たので、久しぶりに彼女の小説が読みたくなった。
 フィットネスクラブに通う男女という現代的な設定を上手く生かした、切れ味鋭い連作短編集。金原瑞人の解説がよかった。彼が述べているように、井上荒野の小説はどこか物騒だ。奥田英朗の「マドンナ」や「ガール」が、読んでいると心が晴れやかになるのとは全く対照的。登場人物がとにかく不気味でグロテスク。
 好き嫌いがあると思うのであまり気軽に他人にお薦めできないが、井上荒野はやっぱりすごい。

しかたのない水 (新潮文庫)

しかたのない水 (新潮文庫)