「アナーキー・イン・ザ・JP」読了。
中森明夫著「アナーキー・イン・ザ・JP」(新潮社)読了。こんな小説読んだことない。明治・大正時代のアナーキスト・大杉栄が、主人公の17歳のパンク少年・シンジの頭の中に棲みついた、というなんとも奇想天外な物語。
いや、それだけならありがちだけど、大杉栄の生涯や思想をストーリーに詳しく組み込んでいるので、評伝のようにも読めるのがすごい。知的好奇心を大いに刺激されて、ほかにも読書が広がっていきそうな一冊。まずは大杉栄の岩波文庫を読んでみたくなった。
一番好きなのはシンジの中の大杉栄とシンジの兄・一郎が話す場面。「大杉栄は文学をわからなかった。しかし、文学は大杉をわかっていた(192ページ)」という言葉のあたりなんか、すごく好きだ。
著者の言葉に対する感覚は斬新で鮮烈。この大作を「新潮」2010年5月号に一挙掲載したというのがすごい。年末の読書回顧特集で大いに取り上げられるんじゃないかな。書評を読むのが楽しみだ。
- 作者: 中森明夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/09/29
- メディア: 単行本
- クリック: 77回
- この商品を含むブログ (28件) を見る