地方の作家。

 「廃墟に乞う」(文藝春秋)で直木賞を受賞した佐々木譲は、夕張市出身で札幌育ち、現在は道東の中標津町に住んでいるという。「北海道には語られていない物語がまだたくさんある」という彼の言葉を聞いて、素晴らしいと思った。
 メールやファクスがあれば作家ができるようになったことで、地方在住の作家が増えているような気がする。池澤夏樹も北海道在住だし、佐藤正午佐世保だし、伊坂幸太郎は仙台で立派に流行作家をやっている。出版は相変わらず東京の地場産業のようなものだが(京都も頑張っているか)、作家は東京にいなくてもできる時代になったというのは、文学にとっていい結果をもたらすように思う。