北大と古本屋と猫。

 (住んでいる場所をある程度明らかにしないと、スムーズに日記が書けないので、以後、ここは北海道札幌市内であることを書いてもよいことにする。)


 北海道大学へ行ってきた。目的は別にない。いや、古本屋の場所を調べたら、やはり大学周辺に多いことがわかったので、目的は古本屋の偵察である。地下鉄南北線北12条駅で下車すると、もう大学は目の前である。駅周辺に2件。どちらもあいにく収穫ゼロだったが、1件目の店で2匹の猫が店内を悠々とうろついていたのが印象深い。ほどよく人に慣れているようで、触ろうとするとスッと逃げてしまう。「古本」と「猫」はとても相性がいい。
 正門近くの店へ。ここでは2冊購入。古本なのに2冊で2500円も買ってしまうなんて、久しぶりの散財。
向井敏著「残る本 残る人」(新潮社)…1000円。向井敏の本はとにかく見かければ何でも買ってしまう。野球本に関する書評が何篇かあるのが嬉しい。

残る本 残る人

残る本 残る人

■シリーズ民間日本学者30 高田宏著「猪谷六合雄 人間の原型・合理主義自然人」(リブロポート)…1500円。このシリーズも持っていないものを見るとつい買ってしまうが、この値段で買うのは我ながらどうかと思う。「猪谷六合雄」は「いがや・くにお」と読むらしいが、この人については全く知らない。


 ついでに大学キャンパス内を散歩。まずは生協を目指す。もちろん書籍部の様子を窺うため。素晴らしい店だった。本が店にないことにフラストレーションを感じることが近ごろ多いので、こういう店を見ると感動してしまう。ちくま文庫の新刊なんて5冊ずつぐらい平積みされている。専門書も各ジャンル充実しており、さすが道内最高の知識集積地だけのことはある。感動したわりには何も買わず、店を出る(古本を買って購書欲は満たされていたため)。
 農学部、理学部、歯学部、医学部などの前を通って、北18条駅まで歩いた。広大な敷地と重厚な校舎群。歴史ある国立大学独特の雰囲気を、味わうことができた。


 (追記:北海道の古本屋には石川啄木関連の本がわりと多い。道外の者にはそのイメージがあまりない(啄木と言えば岩手県である)が、啄木は北海道に縁の深い歌人であり、道内の石碑で最も多いのが彼の歌を刻んだものである。)