「夕日と拳銃」読了。

 壇一雄の「夕日と拳銃」(角川文庫、上・下巻)をようやく読了。解説まで読んでみて、この本のことを何も知らずに読んでいたことが分かった。
 まず、1955〜56年にかけて読売新聞に連載された小説であるということ。解説は当時の文化部長・細川忠雄が書いている。また、この物語は伊達順之助という実在の人物の生涯を題材にした、モデル小説であるということ。そして、当時は映画化などもされ、人気を博したということ。
 世の中には、知らんかコツがたくさんあるタイ(麟之介風九州訛りが伝染しそうだ)。


 重松清は、この本の帯にこうコメントを寄せている。
上巻:「リセットし、新天地で勝負する麟之介に、少年だった僕は、すごく憧れた。東京に行こう。これを読んで決意したんだ。」
下巻:「ラストがかっこいい。自分が小説を書くようになって、なおさらそう思うようになった。」
 これを読んだとき、「そんな大げさな感情を抱くようなストーリーでもないだろうよ」と思った。しかし、新聞連載当時の読者にとっては、舞台となった時代がそう遠くはないだけに、大いに興奮させられるだけの魅力があったろう。