「死の棘」読了。

 島尾敏雄著「死の棘」(新潮文庫)読了。ああ、ようやく読み終わった。ある程度予想はしていたが、それ以上に凄絶でしんどい小説だった。不毛なまでに繰り返される妻の攻撃に、終盤は読者である私もぐったりとなってしまった。でも、読んでよかった。人間の感情の機微をここまで忠実に、丁寧に選びとった日本語をこれまで読んだことがない。女が佐倉の家に訪ねてくる事件の場面は、どうなることかとドキドキした。
 これを読んで島尾伸三氏の写真集「まほちゃん」を見ると、これまでと全く違った感慨が湧いてくる。著者の死後出版された「『死の棘』日記」(新潮文庫)も、少し読んでみようと思う。

死の棘 (新潮文庫)

死の棘 (新潮文庫)

「死の棘」日記 (新潮文庫)

「死の棘」日記 (新潮文庫)

まほちゃん

まほちゃん