「ヨムヨム」を読む。

 先日買った「yomyom」の最新号を読んでいる。小説はとばして、酒井順子海堂尊高山なおみ佐野洋子内田樹などのエッセイを先に読んだが、どれも面白い。一番印象に残ったのは江國香織森絵都の往復書簡で、絵國香織が旅について書いている部分。

 私も旅は好きで、でかけると基本の自分に戻れる気がするのですが、このごろは、二十代のころのようにいつでもどこへでも、お金が許す限りながくでかける、ようなことはできません。
 勿論、一方でそれはいいことなのだと思いもします。こなしきれない(気のする)量の仕事とか、生れ育ったのとはべつの家とか夫とか犬とか、昔の私にはなかったものが、いまはあると考えれば。
 でもね、もう一方では痛恨です。実にまったく、痛恨。
 身軽を身上としていたので、私は、自分がいつかそれほど身軽でなくなるなんて、思ってもみなかった。(87ページ)

 「痛恨」という言葉が非常にしっくりくるなあと思った。私も学生時代の身軽さを失って、しんみりすることがある。もうあのころのような旅はできないぜよ。

 この雑誌、どうして今まで買わなかったんだろう。小説は全て読み切りだし、新しい作家に出会ういいきっかけになりそうだ。今後ブックオフで見かけたらバックナンバーも買おうと思う。きっと100円だろうし。

yom yom (ヨムヨム) 2010年 05月号 [雑誌]

yom yom (ヨムヨム) 2010年 05月号 [雑誌]